Yapodu Tech Blog

株式会社ヤポドゥの技術ブログです。

AWS Summit の感想・考察とおすすめしたいセッション動画

ご挨拶と記事概要

こんにちは株式会社ヤポドゥ技術部所属インフラエンジニアkojiroです。 本日は先日開催されたAWS Summit(2025/06/25・26)の感想考察と参加した14セッション中、印象にのこった!勉強になった!追加で調べたい!つまりおすすめをシェアしたい内容の記事になります。

目次

全体の印象ITトレンド

今年は何といってもAI Agentでした。ほぼ全てのセッションやトピックにAIが絡んできました。個人的にも直近でBedrockとRAGにふれていてよかったと振り返ります。ハルシネーションの改善、RAGの工夫、AIとの向き合い方、AIの取り入れ方に話題が集中していました。AI系のセッションでお勧めしたいのはやはりserver worksさんのセッションナンバーAP-36です。 AIとの向き合い方、AIのセキュリティ、AIの推進体制についてうまくまとめられており聞きごたえのある内容でした。

特に大事だと思ったキーワードで後から調べなおして理解を深める必要があるワードを列挙したいと思います。

  • AWS Audit MangerのAIベストプラクティス (AWS Generative AI Best Practices Framework v2)
  • OWASP Top10 LLM Applications
  • プロンプトインジェクション
  • AWSドキュメントセキュリティスコープ➀~⑤( 生成AIセキュリティスコーピングマトリックス )
  • 推論パラメータ Temperature
  • 階層的チャンキング
  • Advanced parsing
  • 情報と経験の両方が大事
  • 小さく早く始めてみる
  • 生成AI PoC 支援

もう一つAI Agent系のセッションでお勧めしたいのはセッションナンバーAWS-19です。こちらはAWSの公式セッションで生成AIアプリケーションの構築にあたり、気にするべきポイントや推奨するサービスを紹介してました。話題はやはりハルシネーションでAIの生成出力の精度をどのように改善したかでした。AWSが担当した様々な企業のケースを例にRAGのデータ設計の工夫をポイントに上げていました。 記事校正会社、薬剤会社、料理レシピ系のメディア会社の三つで共通していたのはRAGで取り込む文章を構造化、文章の分割をして分かり易くすることだという理解をしてます。つまりデータクレンジングに人の知恵や手間が加わる事でAI出力の精度に確実に影響がでるという内容でした。

こちらもキーワードを列挙したいと思います。

  • GenU
  • AWS Trainium2
  • AWS Inferentia 2
  • Guardrails 日本語対応
  • Amazon Q Business
  • Bedrock Advanced RAG
  • Amazon Bedrock

基調講演・SPセッション

両日オープニングセレモニーとしてメインステージで大規模なセッションがありました。AWSの白幡社長をはじめとして情報系の様々な大企業の社長・重要ポストの方のトークセッションが行われました。その中でも印象に残った方やポイント、大事だと思うキーワード等をシェアしていきたいと思います。

両日で一番印象に残ったのは株式会社ドワンゴ 代表取締役社長 夏野 剛氏です。この後、荒れそうな株主総会があるということでスケージュールの合間を縫って登壇されていました。ドワンゴニコニコ動画を運営する会社で最近では KADOKAWAを傘下に加えたコンテンツメディア会社です。今年の3月にAWSと連携して長期プロジェクトをすすめ、クラウド化が完了した経緯があり、今回のセッションが決まったようでした。会員数1億人を抱えているニコニコのコンテンツは100%オンプレミスで稼働していたようで夏野社長はセキュリティやコスト面を考えてクラウド化が課題だったとおっしゃってました。堅牢性、柔軟性、献身性、多様性を考慮し他社と徹底的に比較分析をした時にAWSが選択肢に上がったという内容でした。それを聞いて改めて勉強している内容の優位性や意義を感じ、安心感と危機感が入り混じりました。クラウド化プロジェクトは3年前からはじまり、構想段階をふくめとプラス1年という大規模な長期プロジェクトだったと振り返ってます。それでも2024年6月に大規模なサイバー攻撃を受けて、大変な目にあった事を" 経験者は語る "といった面持ちでお話し頂き、AWSに移行途中だったこともあり、後一年早ければと後悔を語っていました。その経緯もありプロジェクトの進行を早めた背景があったことも打ち明けています。今後はKADOKAWAつまり書籍コンテンツをフルクラウド化していくというプロジェクトが現在進行中の様です。個人的にアニメが好きなので人気小説家の文庫や教育書籍なども含めて書籍コンテンツのフルクラウド化がどのようなビジョン、ビジュアルやストーリーでアップデート・リリースされていくのかとても期待感を持ちました。

長くなりましたが二日間のメインセッションで大事だと思ったキーワードを列挙していきたいと思います。

運用・インフラ設計の課題領域セッション

次に紹介したいセッションはセッションナンバーAWS-50のAWSにおけるグレー障害の検出と対策になります。インフラ設計における障害対応のど真ん中の内容だと思いました。グレー障害をいかに検出・対応するかを概要から該当ケース・解決策まで聞きごたえのある内容でセッションしてくれました。こちらは僕が内容をお伝えするよりAWS Summitのwebページで上がっている動画を見ていただく事を強くお勧めします。

こちらもキーワードを列挙していきます。

  • contributor Insigte
  • 複合アラーム
  • グレイスフルグラデーション
  • AZI( Availability Zone Independent )
  • シャロー or ディープ
  • メトリクスディメンション
  • ゾーンシフト
  • AWS ARC( AWS Application Resilience Capability )
  • AWS FIS( AWS Fault Injection Simulator )
  • ジッター

興味・関心のあるセッション

こちらは個人的に興味・関心のあるセッションだった為、受講したセッションのうち、おすすめしたい内容だったものをシェアしたいと思います。 現在、第四次アニメブーム( 勝手に言ってます )的な波に飲み込まれている実感のある私ですが、アニメの制作現場にまつわる内容のセッションがありました。セッションナンバーはAWS-64になります。アニメやCG/VFXの制作現場で取り入れるべきクラウドコンテンツ入門といった内容でした。アニメ市場は現在3000億円市場とされており、そこで働く制作人のほとんどがフリーランスのクリエイターで全体の8割を占めているそうです。個人的には近年で一番分かり易く成長している、世界とすぐ繋がることが出来る、日本が世界に誇る!激強コンテンツという印象です。ポテンシャルは3000億どころではない実力を秘めた市場ではないかとたたえます。ただそんな表側の印象とは裏腹にテレビやネットで放送されている現行のアニメもその都度、反響営業で制作委員会が立ち上げられ、鮮度を過ぎた中だるみのタイミングで打ち切られる印象も強いです。そんな事情も含んでいる制作現場の課題として人材不足やリソース不足、オフィスとリモート、コストの最適化の問題を解決してきたのがAWSだったようです。アニメーターの仕事に対してリスペクトしかわかない程、重労働な印象が強いのですがやっと時代が追い付いてきて、アニメの質とスピードの両立が実現しようとしていると思います。脱線しましたがセッションの内容はAWS初学者にも優しい内容かつこの分野でしか出てこないようなサービスも紹介されていました。

ここでもキーワードのみ列挙していこうと思います。

  • AWS Deadline Cloud( レンダリングファーム )
  • AWS DCV + EC2( ハンズオンありリモートで高性能マシンを使える技術 )
  • App Stream 2.0
  • モニターとサブミッターのインストール
  • AWS Deadline Cloudはスポットインスタンスで実装されている相性が良い。

最後に紹介したいセッションはセッションナンバーCUS-24のGMO決済システムで内製開発の9年間の歩みを紹介したセッションです。こちらもオンプレミスからクラウドへの段階移行のストーリーですが社内エンジニアの声から動き出したプロジェクトとしてとても聞きごたえがあり、現状とてもうまくいっているケースとして紹介されています。 ルールを決めてクラウドの恩恵を最大限、活かせる移行にするため、EC2の使用を禁止し、オンプレのアプリケーションをそのまま持ってこないようにしたというエピソードはとても本質をついていると思いました。 タイムアウトを待ってエラーを返すより即時にエラーを返した方がユーザー体験がいいという言葉は名言だと思います。

こちらもキーワードを列挙していこうと思います。

  • クラウド警察
  • SageMaker
  • Workspaces
  • マルチQR決済GW
  • PrivateLink
  • クラウドの良さを取り入れないと意味がない
  • エンジニアのモチベーションファースト( 触ってみたいを採用した )
  • マネージドをつかう
  • エンタープライズサポートに切り替える時期

まとめと案内

今回は特に印象に残ったセッションを紹介しましたが興味深かったもの、勉強になったセッションはほかにもたくさんありました。あくまでも僕が受講したセッションの中で独断と偏見でセレクトしています。

そして全てではないようなのですが期間限定でAWS Summitのセッションを見返せるページが開設されていましたので紹介しておきます。 https://summitjapan.awslivestream.com/ ※アカウント登録をしていないと見れません。

記事で紹介したセッションナンバーは以下になります。

AP-36 AWS-19 SP-01 KEY-01 AWS-50 AWS-64 CUS-24

年々規模を増して広がりを見せるAWSですが来年もぜひ参加し、トレンド同行と勉強の継続をしていきたいです。 これで" AWS Summit の感想考察とおすすめしたいセッション動画 "を終わります。